免疫力を高めるための栄養成分小事典

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ビタミンの免疫力効果

ビタミンの効果・効能

 ビタミンの主な免疫力効果は、体内の細胞や組織を合成したり、生理機能の調節したりすることです。また、免疫機能を正常に維持し、疾患の予防や疾患からの回復を促進します。

 ビタミンには体内の細胞や組織の合成に必要な酵素の働きを助けるという重要な役目があります。ビタミンが不足すると、酵素がうまく働かなくなるため、新陳代謝が潤滑に行われなくなります。

 また、ビタミンは生理機能を調節し、代謝を円滑にする働きもあります。免疫器官に協力し、細胞の増殖を活発にさせるなど、免疫機能を正常に維持する為には欠かすことができないのです。

 ビタミンの一部は体内で合成することができないため、食品から補わなければなりません。

ビタミンAの効果・効能

 ビタミンAの主な免疫力効果には、視機能の改善、粘膜や皮膚の健康維持などがあります。また、動脈硬化を予防したり、ガンの予防および抑制をしたりします。

 まずビタミンAは、免疫機能を維持するほか、皮膚や粘膜などの健康を保つ働きがあります。不足するとのどや鼻から細菌やウイルスが侵入しやすくなり、風邪などの感染症にかかりやすくなります。免疫細胞の働きを活発にするので、抗がん作用があります。さらに、免疫細胞を傷つける活性酸素の害を防ぐ抗酸化作用もあります。

 また、天然色素の一種カロテノイドのうちの炭素と水素のみでできているカロテンが体内に入ると、ビタミンAと同じ働きをする物質に変換されます。このようなビタミンAの前駆物質のことをプロビタミンAと言います。

 ビタミンAは、健康な人の場合、肝臓で十分に貯えられているため、不足することはほとんどありませんが、アルコールを大量に摂取すると、貯えられているビタミンAが消耗されてしまいます。

 ビタミンAが不足すると、目が見えにくくなり、夜盲症などが起こる可能性があります。

 主にレバーやうなぎ、にんじんなどに多く含まれています。

 過剰に摂取すると全身倦怠感、頭痛、吐き気、めまいなど、急性症状や、脱毛、筋肉痛、肝障害、関節炎などの慢性症状が起こる可能性があるとされています。

ビタミンB群の効果・効能

 ビタミンB群の主な免疫力効果は、疲労を回復したり、神経機能を正常に保ったりすることや、成長促進、生活習慣病の予防・改善などです。また、糖尿病の予防や粘膜や皮膚の健康維持といった働きもあります。

 ビタミンB群は、B1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンのことです。どれも免疫面に関わっている重要な栄養素であり、それぞれが協力し合いながら、脳や神経、皮膚や粘膜などの健康を保っています。

 また、エネルギー代謝を助けるはたらきもあるため、人間の体には必要不可欠な栄養素ですが、体に貯めておくことができないため、毎日こまめに食事から摂取する必要があります。

 その中でもビタミンB1は糖質をエネルギーに変える役目があり、不足すると疲労が溜まりやすくなると言われています。主に豚肉やレバーなどに多く含まれています。

 ビタミンB2は、糖質や脂質、タンパク質からのエネルギーの生成に広く関わってる栄養素です。そのため、活発に活動する人ほど、ビタミンB2が必要になります。また、皮膚や粘膜の健康維持を助けるはたらきもあるため、不足すると口内炎や舌炎などができやすくなると言われています。ビタミンB2はレバーや卵、納豆などに多く含まれます。

 葉酸は消化器官の粘膜、赤血球の製造などで必要になります。また、血管内の血液凝固因子や血管内皮細胞に影響を与えるホモシステイン濃度を低下させるので、動脈硬化や動脈血栓の防止に重要な役割を果たします。主にレバーのほか、ほうれん草やブロッコリーに多く含まれています。

 ビタミンB6は、たんばく質の代謝を促進するために欠かせないビタミンとされています。たんぱく質を分解してアミノ酸にする酵素と、アミノ酸を別のアミノ酸に組み替える酵素の補酵素として、その働きを助けます。

 たんぱく質のアミノ酸への分解や、別のアミノ酸への合成に支障が出た場合、アミノ酸から構成されるたんぱく質も当然影響を受けることになります。また、皮膚や粘膜をはじめとする多くの体組織や酸素を運搬するヘモグロビン、病原菌と闘う抗体や神経伝達物質もたんぱく質から作られています。そのため、ビタミンB6が不足してしまうと、アミノ酸の代謝が滞るため、たんぱく質の働きに悪影響が出てしまいます。

 さらに、ビタミンB6はたんぱく質がアミノ酸に代わり、そこからエネルギー代謝が円滑に行われるためになくてはならない栄養素です。エネルギー代謝に必要 なビタミンB群の一つでも欠けると、エネルギー代謝がうまくいかなくなり、疲労感が増してきますので、疲労回復という点で重要な役割を果たします。

 それ以外にもビタミンB6は、免疫機構で主要な役割をもっている免疫グロブリン(抗体)の生成に関わっているため、免疫機能を正常に維持するために欠かせない栄養素だとされています。そのためビタミンB6にはアレルギー症状を緩和する効果があると言われています。

 ビタミンB12にも免疫を正常にする働きがあります。もともと悪性貧血を防ぐビタミンとして知られており、赤血球の生成を促進します。赤血球を作る脊髄や 胃腸の粘膜など細胞分裂の活発な組織で活躍するため、欠乏した場合、赤血球の成熟に異常をきたす悪性貧血や、消化器官にも障害を起こしてしまいます。

 また、ビタミンB12にはホモシステインの血中濃度を下げる働きがあります。ホモシステイン濃度が上がると動脈硬化や心臓病のリスクが高まるとされていますが、葉酸とB12を一緒に摂取すると低減効果が高まることがわかっています。

 さらに、末梢神経や中枢神経など神経系の働きに関与しており、神経の機能の維持・改善・修復の働きがあることが分かるようになり、今後の研究への期待が高まります。

ビタミンCの効果・効能

 ビタミンCの免疫力効果は、老化や病気から体を守ったり、免疫機能の向上させたりすることです。また、ストレスの緩和、白内障の予防・改善、貧血予防といった免疫力効果もあります。

 ビタミンCは免疫機能を担う白血球の一つ、好中球の活性維持や増強に関与しているため、免疫機能を高め、ウイルスに対する抵抗力を高める効果があります。風邪の予防や回復を早めるのにビタミンCは効力を発揮します。

 また、細胞と細胞をつなぐ接着剤の働きや、骨を丈夫にする働きがあり、血管や筋肉を丈夫に保つとともに、皮膚、骨、粘膜の形成を担う役目を果たしているコラーゲンの合成を促進します。

 そのためビタミンCの不足が続くと、体をつくるたんぱく質のひとつ、コラーゲンを十分に生成することができず、体中の血管、粘膜、皮膚組織の結合が弱くなって出血が止まらなくなる壊血病になります。

 それ以外には抗酸化作用が強く、活性酸素によって細胞が錆びつくのを防ぐため、老化の進行を防ぎます。また、悪玉 (LDL)コレステロールが錆びつくことによってできる過酸化脂質の生成を抑えると言われています。

 そのほか抗ストレスホルモンの生成にも関わっています。人間はストレスを感じた時、アドレナリンを副腎から分泌させ、血糖値の上昇と共にエネルギーを増やすことで、ストレスへの体制を整えようとします。

 このアドレナリンの生成時に補酵素としてビタミンCが必要になります。アドレナリンの分泌量が増えるとビタミンCの消費量も増加するため、ストレスが多いほどビタミンCをしっかり摂らなければならなくなります。

 ビタミンCは主にアセロラやレモン、ブロッコリーやじゃがいもなどに多く含まれています。

 ビタミンCの過剰摂取の副作用に関しては、小腸での吸収やまた組織や臓器における飽和度に限界・限度があり、体内で一定量しか蓄積されないため、特に無いようです。


ビタミンDの効果・効能

 ビタミンDの主な免疫力効果は、骨や歯を丈夫にしたり糖尿病やインフルエンザを予防したりすることです。

 ビタミンDは、カルシウムのバランスを整えるのを手伝ったり、骨の健康を保ったりします。また、ビタミンDはカルシウムの吸収を助けるため、骨の形成に関与しており、不足すると小児のくる病や、骨軟化症、骨粗しょう症(成人)になるおそれがあります。

 ビタミンDがカルシウムの吸収を助けるには、サプリメントなどの「非活性型」ではない「活性型」を摂取する必要があります。

 カルシウムの吸収促進といったカルシウム作用以外にも、非カルシウム作用と呼ばれる生理作用もあります。非カルシウム作用とは、がん細胞、および正常細胞の増殖抑制・分化誘導作用、発毛調節作用、免疫調節作用などのことです。

 さらに最近の研究では、ビタミンDには高血圧や心疾患、脳卒中、糖尿病などの様々な生活習慣病の予防や認知症やうつの予防にも有効であるという多くの報告がなされているようです。また、インフルエンザの発症率を抑える免疫力効果があることが指摘されているそうです。

 ビタミンDは主にあんこうの肝やいわしなどに多く含まれています。

 ビタミンDを過剰に摂取すると血中のカルシウム濃度が上昇し、血管壁や肺、心筋、胃、腎臓などにカルシウムが多量に沈着するため、高カルシウム血漿や腎障害、軟組織の石灰化などの症状を引き起こすことがあるとされています。


ビタミンEの効果・効能

 ビタミンEの主な免疫力効果は、抗酸化作用、老化防止、血流改善などです。また、ホルモンバランスの調整して更年期障害に対して効果を発揮したり、(ビタミンCと摂取で)ガンを予防したりします。

 ビタミンは水に溶ける水溶性のビタミンと、脂に溶ける脂溶性のビタミンが存在しますが、脂溶性のビタミンの代表がビタミンEです。

 ビタミンEは脂溶性のため脂からできている細胞膜に存在し、活性酸素の攻撃から細胞膜を守る働きがあります。リン脂質のひとつである不飽和脂肪酸が活性酸素によって酸化して過酸化脂質に変質してしまうと、老化や様々な生活習慣病の原因になります。

 特に40歳を過ぎると急激に血中の過酸化脂質の量が増加しますが、ビタミンEには不飽和脂肪酸が過酸化脂質に変質してしまうのを防ぐ働きがあります。体の老化やガンなどを予防するビタミンCと共に抗酸化作用があるため、老化の進行やガンの誘発を防ぐにはビタミンCと一緒に摂取することが望ましいとされます。

 そのほか、ビタミンEは自律神経に働きかけることで、血管の収縮を促す神経伝達物質の生成を抑え、毛細血管の拡張をはかり、血行を良くします。そのため、頭痛や肩こり、冷え性などの血行不良による症状の緩和が期待出来ると言います。

 また、ビタミンEにはホルモンバランスを調整する働きもあることから生殖機能を正常に保つ効果もあります。

 脳内の血行をよくすることで、ホルモン分泌の司令塔であり、自律神経の中枢でもある視床下部の働きを活発化させ、 生殖機能の維持・改善に努めるとされています。女性ホルモンや男性ホルモンなどの分泌を助けることで、更年期障害や精力減退に効果があると期待されています。

 ビタミンEはひまわり油やアーモンド、あんこうの肝などに多く含まれています。

 過剰に摂取した場合は、輸送たんぱく質の働きにより吸収量がコントロールされているため蓄積しないので、特に副作用の報告はありません。